水道用鉄蓋について
水道用鉄蓋は、水道管路などに設置されたバルブ等の機器類の操作、点検、維持、修繕時等に開閉して使用します。
中に埋設されている機器類に応じて、様々な形状や大きさの鉄蓋があります。
水道用鉄蓋を開けると、以下のような水道の水圧や水量等を制御するバルブ等の機器類が埋設されています。
・仕切弁:水道を遮断したり水量を調整したりするためのバルブ
・消火栓:消防が消火活動に使用する水を取り出すためのバルブ
・空気弁:管路内に溜まった空気を抜いて管路を保護するためのバルブ
構造・材質
水道用鉄蓋の現在の規格では、道路橋示方書に基づく設計自動車荷重T-25仕様の荷重条件が適用されています。
但し、既設の鉄蓋については、現在の規格以前の鉄蓋も設置されていることがあり、現状の使用環境にあった適切な仕様の蓋に交換していく必要があります。
水道用鉄蓋は、蓋とそれを支える受枠で構成されています。
鉄蓋の形状としては、日本水道協会の規格で円形と角形が規定されています。
水道用鉄蓋は、車両が通行する道路上に設置されることが多いことから、通常、耐荷重性、耐衝撃性、耐摩耗性に優れた鉄蓋専用のダクタイル鋳鉄が使用されています。
鉄蓋の材質は、通常、耐摩耗性に優れたダクタイル鋳鉄が使用されていますが、繰り返しの車両通行により、少しずつ摩耗していきます。鉄蓋表面の摩耗度合いは、設置場所の路上を通過する車両台数や車体重量などに大きく影響されます。
摩耗した鉄蓋の例
デザイン
鉄蓋の色標示は、工場で作業者が蓋表面の凹んだ箇所に、カラー樹脂を手作業で流し込んで製作しています。
施工
鉄蓋の施工方法に関しては、各メーカーにて高さ調整用のボルト緊結部材や無収縮モルタルによる施工方法を準備しておりますので、各メーカーにお問い合わせ下さい。
枠変形防止用高さ調整用部材の例
水道用のボックス周辺の地震発生時の不具合事例として、地震動による水平力で受枠や調整部にズレが発生し、そのまま放置すると、大型車等の通行に対して十分な耐荷重性能が発揮できず、ボックスが破損するおそれがあります。
これらの対策としては、ボックスの据付け時に各部材の接合面に接合材を使用し一体化しておくことや、ボックスの上部壁と受枠をボルトで固定するなどがあげられます。
ボックスの部材間の接合の例
上部壁と受枠のボルト固定の例
水道用鉄蓋は、道路橋示方書に基づく設計自動車荷重T-25仕様の荷重条件で設計されており、交通量の激しい道路への敷設も可能です。但し、敷設時の施工が適切でなければ、受枠毎がたつくなどの問題も起こり得るため、下桝とのボルト緊結を行うなど、適切な施工をお願いいたします。
鉄蓋上を車両が繰り返し通行し、蓋が受枠に喰い込み過ぎている場合、蓋が開放し難くなる場合があります。また蓋と受枠の接触面が腐食するなどして固着した場合も、同様に蓋が開放し難くなる場合があります。通常の開閉器具で蓋の開放が困難な場合などのために、専用の開閉ジャッキ等が準備されているものもありますので、各メーカーまでお問い合わせ下さい。
鉄蓋開閉ジャッキの一例
鉄蓋のがたつきの修繕方法に関しては、①すりつけ加工や②点溶接及びすりつけなどの方法が「水道用鉄蓋類維持管理マニュアル2021(日本水道協会)」の中で紹介されています。
これらの蓋のがたつき修繕については、あくまでも一時的な危険回避のための応急措置であり、特に交通量の多い車道部等に設置された鉄蓋については、緊急工事等で早急に取替え・更新をお願い致します。
環境
撤去された鉄蓋は、基本的に産業廃棄物として処理されることになります。
具体的な処分方法については各事業体毎に異なりますので、それぞれの事業体で定められた処分方法に従ってください。
その他
鉄蓋の開閉工具がありますので、各メーカーまでお問い合わせください。
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